「投稿者: magoroku@tnnt」の記事一覧

王成 蒲松齢—– 田中貢太郎訳
 王成《おうせい》は平原《へいげん》の世家《きゅうか》の生れであったが、いたって懶《なま》け者であ…
嬰寧 蒲松齢—– 田中貢太郎訳
 王子服《おうしふく》は※[#「くさかんむり/呂」、第3水準1-90-87]《きょ》の羅店《らてん》の人であ…
阿繊 蒲松齢—– 田中貢太郎訳
 奚山《けいざん》は高密《こうみつ》の人であった。旅に出てあきないをするのが家業で、時どき蒙陰《も…
阿霞 蒲松齢—– 田中貢太郎訳
 文登《ぶんとう》の景星《けいせい》は少年の時から名があって人に重んぜられていた。陳《ちん》生と隣…
阿英 蒲松齢—– 田中貢太郎訳
 甘玉《かんぎょく》は幼な名を璧人《へきじん》といっていた。廬陵《ろりょう》の人であった。両親が早…
蠢く者—– 葛西善藏
 父は一昨年の夏、六十五で、持病の脚氣で、死んだ。前の年義母に死なれて孤獨の身となり、急に家財を片…
遊動円木—– 葛西善蔵
 私は奈良にT新夫婦を訪ねて、一週間ほど彼らと遊び暮した。五月初旬の奈良公園は、すてきなものであっ…
父の葬式—– 葛西善蔵
 いよいよ明日は父の遺骨を携《たずさ》えて帰郷という段になって、私たちは服装のことでちょっと当惑を…
父の出郷—– 葛西善蔵
 ほんのちょっとしたことからだったが、Fを郷里の妻の許《もと》に帰してやる気になった。母や妹たちの…
浮浪—– 葛西善蔵
     一 「また今度も都合で少し遅くなるかも知れないよ。どこかへ行つて書いて来るつもりだから……」…
不良兒—– 葛西善藏
 一月末から一ヶ月半ほど、私は東京に出てゐた。こんなことは今度が初めてと云ふわけではないので、私は…
遁走—— 葛西善蔵
一  神田のある会社へと、それから日比谷の方の新聞社へ知人を訪ねて、明日の晩の笹川の長編小説出版記念…
椎の若葉—— 葛西善藏
 六月半ば、梅雨晴《つゆば》れの午前の光りを浴びてゐる椎《しひ》の若葉の趣《おもむき》を、ありがた…
死児を産む—– 葛西善蔵
 この月の二十日前後と産婆に言われている大きな腹して、背丈がずんぐりなので醤油樽《しょうゆだる》か…
子をつれて—– 葛西善藏
一  掃除をしたり、お菜《さい》を煮たり、糠味噌を出したりして、子供等に晩飯を濟まさせ、彼はやうやく…
湖畔手記—– 葛西善藏
 たうとうこゝまで逃げて來たと云ふ譯だが――それは實際悲鳴を揚げながら――の氣持だつた。がさて、これか…
血を吐く—– 葛西善藏
おせいが、山へ來たのは、十月二十一日だつた。中禪寺からの、夕方の馬車で着いたのだつた。その日も自分…
奇病患者—– 葛西善藏
 薪の紅く燃えてゐる大きな爐の主座《よこざ》に胡坐を掻いて、彼は手酌でちび/\盃を甞めてゐた。その…
贋物 —–葛西善蔵
一  車掌に注意されて、彼は福島で下車した。朝の五時であった。それから晩の六時まで待たねばならないの…
哀しき父—– 葛西善藏
       一  彼はまたいつとなくだん/\と場末へ追ひ込まれてゐた。  四月の末であつた。空には…