「投稿者: magoroku@tnnt」の記事一覧

牛鍋からすき焼へ—– 古川緑波
1 「おうなにしますか、それとも、ギュウがいいかい?」  と、僕の祖母は、鰻を「おうな」牛肉を「ギュウ…
甘話休題—– 古川緑波
1  もう僕の食談も、二十何回と続けたのに、ちっとも甘いものの話をしないものだから、菓子については話…
下司味礼讃—– 古川緑波
 宇野浩二著『芥川龍之介』の中に、芥川龍之介氏が、著者に向って言った言葉、  ……君われわれ都会人は、…
このたび大阪——古川緑波
五月上旬から、六月へかけて、梅田コマスタジアムで「道修町」出演のため、大阪に滞在すること、約一ヶ月…
うどんのお化け—– 古川緑波
目下、僕は毎日、R撮影所へ通って、仕事をしている。そして、毎昼、うどんを食っている。  此の撮影所は…
ああ東京は食い倒れ— 古川緑波
 戦争に負けてから、もう十年になる。戦前と戦後を比較してみると、世相色々と変化の跡があるが、食いも…
流刑地で IN DER STRAFKOLONIE      フランツ・カフカ Franz Kafka ——-原田義人訳
「奇妙な装置なのです」と、将校は調査旅行者に向っていって、いくらか驚嘆しているようなまなざしで、自…
変身 DIE VERWANDLUNG フランツ・カフカ Franz Kafka ——-原田義人訳
1  ある朝、グレゴール・ザムザが気がかりな夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に…
判決    DAS URTEIL  フランツ・カフカ Franz Kafka ——-原田義人訳
 すばらしく美しい春の、ある日曜日の午前のことだった。若い商人のゲオルク・ベンデマンは二階にある彼…
断食芸人               EIN HUNGERKUNSTLER フランツ・カフカ Franz Kafka ——原田義人訳
 この何十年かのあいだに、断食芸人たちに対する関心はひどく下落してしまった。以前には一本立てでこの…
審判   DER PROZESS  フランツ・カフカ Franz Kafka ——-原田義人訳
第一章 逮捕・グルゥバッハ夫人との     対話・次にビュルストナー嬢  誰かがヨーゼフ・Kを誹謗《…
城    DAS SCHLOSS      フランツ・カフカ Franz Kafka  —–原田義人訳
第一章  Kが到着したのは、晩遅くであった。村は深い雪のなかに横たわっていた。城の山は全然見えず、霧…
最初の苦悩 ERSTES LEID フランツ・カフカ Franz Kafka —-原田義人訳
 ある空中ブランコ乗りは――よく知られているように、大きなサーカス舞台の円天井の上高くで行われるこの…
皇帝の使者 EINE KAISERLICHE BOTSCHAFT フランツ・カフカ Franz Kafka ———原田義人訳
 皇帝が――そう呼ばれているのだ――君という単独者、みすぼらしい臣下、皇帝という太陽から貧弱な姿で遠い…
カフカ解説—– 原田義人
 カフカがプルースト、ジョイス、フォークナーなどと並んで二十世紀のもっとも重要な作家の一人として考…
火夫 DER HEIZER フランツ・カフカ Franz Kafka   —–原田義人訳
 十六歳のカルル・ロスマンは、ある女中に誘惑され、その女とのあいだに子供ができたというので、貧しい…
家長の心配 DIE SORGE DES HAUSVATERS フランツ・カフカ Franz Kafka—– 原田義人訳
ある人びとは、「オドラデク」という言葉はスラヴ語から出ている、といって、それを根拠にしてこの言葉の…
別れたる妻に送る手紙—— 近松秋江
 拝啓  お前――別れて了ったから、もう私がお前と呼び掛ける権利は無い。それのみならず、風の音信《たよ…
箱根の山々—– 近松秋江
 夏が來て、また山の地方を懷かしむ感情が自然に私の胸に慘んでくるのを覺える。何といつても山を樂しむ…
霜凍る宵—– 近松秋江
     一  それからまた懊悩《おうのう》と失望とに毎日|欝《ふさ》ぎ込みながらなすこともなく日を…