「幸田露伴」の記事一覧

鵞鳥——- 幸田露伴
ガラーリ  格子《こうし》の開《あ》く音がした。茶の間に居た細君《さいくん》は、誰《だれ》かしらんと…
旅行の今昔—— 幸田露伴
  旅行に就いて何か経験上の談話をしろと仰《おっし》ゃるのですか。  どう致しまして。碌に旅行という…
野道—— 幸田露伴
 流鶯《りゅうおう》啼破《ていは》す一簾《いちれん》の春。書斎に籠《こも》っていても春は分明《ぶん…
夜の隅田川—— 幸田露伴
 夜の隅田川の事を話せと云ったって、別に珍らしいことはない、唯闇黒というばかりだ。しかし千住から吾…
名工出世譚—— 幸田露伴
   一  時は明治四年、処は日本の中央、出船入船賑やかな大阪は高津のほとりに、釜貞と云へば土地で唯…
魔法修行者—— 幸田露伴
魔法。  魔法とは、まあ何という笑《わら》わしい言葉であろう。  しかし如何《いか》なる国の何時《い…
墨子—— 幸田露伴
 墨子は周秦の間に於て孔子老子の學派に對峙した鬱然たる一大學派の創始者である。  墨子の學の大に一時…
平将門—— 幸田露伴
 千鍾《せんしよう》の酒も少く、一句の言も多いといふことがある。受授が情を異にし※[#「口+卒」、第…
風流仏—– 幸田露伴
 発端《ほったん》 如是我聞《にょぜがもん》       上 一向《いっこう》専念の修業|幾年《いく…
貧乏—— 幸田露伴
   その一 「アア詰《つま》らねえ、こう何もかもぐりはまになった日にゃあ、おれほどのものでもどうも…
馬琴の小説とその当時の実社会 ——幸田露伴
 皆さん。浅学不才な私如き者が、皆さんから一場の講演をせよとの御求めを受けましたのは、実に私の光栄…
二日物語—– 幸田露伴
    此一日       其一  観見世間是滅法《くわんけんせけんぜめつぽふ》、欲求無尽涅槃処《よ…
突貫紀行——- 幸田露伴
 身には疾《やまい》あり、胸には愁《うれい》あり、悪因縁《あくいんねん》は逐《お》えども去らず、未…
努力論—— 幸田露伴
自序  努力は一である。併し之を察すれば、おのづからにして二種あるを觀る。一は直接の努力で、他の一は…
知々夫紀行—— 幸田露伴
 八月六日、知々夫の郡へと心ざして立出ず。年月隅田の川のほとりに住めるものから、いつぞはこの川の出…
淡島寒月氏—— 幸田露伴
 寒月氏は今年七十歳を以て二月廿三日に永逝した。本間久雄氏から、予の知るところの寒月氏を傳へて呉れ…
淡島寒月のこと—— 幸田露伴
 吾が友といつては少し不遜に當るかも知れないが、先づ友達といふことにして、淡島寒月といふ人は實に稀…
太郎坊——- 幸田露伴
 見るさえまばゆかった雲の峰《みね》は風に吹《ふ》き崩《くず》されて夕方の空が青みわたると、真夏と…
鼠頭魚釣り—– 幸田露伴
 鼠頭魚は即ちきすなり。其頭の形いとよく鼠のあたまに肖たるを以て、支那にて鼠頭魚とは称ふるならん。…
雪たたき—— 幸田露伴
 上  鳥が其巣を焚《や》かれ、獣が其|窟《あな》をくつがえされた時は何様《どう》なる。  悲しい声…