「投稿者: magoroku@tnnt」の記事一覧

まぼろし—— 国木田独歩
絶望  文造《ぶんぞう》は約束どおり、その晩は訪問しないで、次の日の昼時分まで待った。そして彼女を訪…
たき火—— 国木田独歩
 北風を背になし、枯草白き砂山の崕《がけ》に腰かけ、足なげいだして、伊豆連山のかなたに沈む夕日の薄…
おとずれ——- 国木田独歩
※上※  五月二日付の一通、同十日付一通、同二十五日付の一通、以上三通にてわれすでに厭《あ》き足りぬと…
あの時分—— 国木田独歩
さて、明治の御代《みよ》もいや栄えて、あの時分はおもしろかったなどと、学校時代の事を語り合う事ので…
鸚鵡蔵代首伝説—— 国枝史郎
仇な女と少年武士 「可愛い坊ちゃんね」 「何を申す無礼な」 「綺麗な前髪ですこと」 「うるさい」 「お幾…
鵞湖仙人—— 国枝史郎
     一  時は春、梅の盛り、所は信州諏訪湖畔。  そこに一軒の掛茶屋があった。  ヌッと這入って…
鴉片を喫む美少年—- 国枝史郎
1 (水戸の武士早川弥五郎が、清国|上海《シャンハイ》へ漂流し、十数年間上海に居り、故郷の友人吉田惣…
岷山の隠士——- 国枝史郎
1 「いや彼は隴西《ろうせい》の産だ」 「いや彼は蜀《しょく》の産だ」 「とんでもないことで、巴西《は…
柳営秘録かつえ蔵—- 国枝史郎
1  天保元年正月五日、場所は浅草、日は午後《ひるさがり》、人の出盛る時刻であった。大道手品師の鬼小…
名人地獄—— 国枝史郎
    消えた提灯《ちょうちん》、女の悲鳴 「……雪の夜半《よわ》、雪の夜半……どうも上《かみ》の句が出…
娘煙術師——- 国枝史郎
楽書きをする女  京都所司代の番士のお長屋の、茶色の土塀《どべい》へ墨《すみ》黒々と、楽書きをしてい…
北斎と幽霊—– 国枝史郎
        一  文化年中のことであった。  朝鮮の使節が来朝した。  家斉《いえなり》将軍の思《…
八ヶ嶽の魔神—— 国枝史郎
   邪宗縁起          一  十四の乙女《おとめ》久田姫は古い物語を読んでいる。 (……そは許…
日置流系図—— 国枝史郎
    帷子姿の半身  トントントントントントン……トン。  表戸を続けて打つ者がある。 「それまた例の…
二人町奴—— 国枝史郎
1 「それ喧嘩だ」 「浪人組同志だ」 「あぶないあぶない、逃げろ逃げろ」  ワーッ[#「ワーッ」は底本…
南蛮秘話森右近丸—- 国枝史郎
1  「将軍|義輝《よしてる》が弑《しい》された。三好|長慶《ちょうけい》が殺された、松永|弾正《だ…
独逸の範とすべき点—-国枝史郎
 第一次世界戦争での戦敗国といえば、いうまでもなく独逸《ドイツ》であるが、その独逸《ドイツ》から表…
銅銭会事変—— 国枝史郎
    女から切り出された別れ話  天明六年のことであった。老中筆頭は田沼主殿頭《たぬまとのものかみ…
天草四郎の妖術—– 国枝史郎
     一  天草騒動の張本人天草四郎時貞は幼名を小四郎と云いました。九州天草大矢野郷越野浦の郷士…
天主閣の音—— 国枝史郎
一  元文年間の物語。――  夜な夜な名古屋城の天主閣で、気味の悪い不思議な唸り声がした。  天主閣に就…