「投稿者: magoroku@tnnt」の記事一覧

神様の布団—– 下村千秋
一  むかし、鳥取《とっとり》のある町に、新しく小さな一|軒《けん》の宿屋《やどや》が出来ました。こ…
曲馬団の「トッテンカン」—– 下村千秋
一  いちばん先に、赤いトルコ帽《ぼう》をかむった一寸法師《いっすんぼうし》がよちよち歩いて来ます。…
鬼退治 —–下村千秋
一  頭は少々|馬鹿《ばか》でも、腕《うで》っぷしさえ強ければ人の頭に立っていばっていられるような昔…
飢餓地帯を歩く ――東北農村惨状報告書――    ——下村千秋
一  これは、青森県のある新聞に載せてあったもので、或る農村――八甲田山麓の村の一青年の詩である。詩と…
とんまの六兵衛—— 下村千秋
 昔、ある村に重吉《じゅうきち》と六兵衛《ろくべえ》という二人の少年が住んでいました。二人は子供《…
あたまでっかち—– 下村千秋
一  霞《かすみ》ガ浦《うら》といえば、みなさんはごぞんじでしょうね。茨城県《いばらきけん》の南の方…
馬鹿七—— 沖野岩三郎
    一  紀州《きしう》の山奥に、狸山《たぬきやま》といふ高い山がありました。其所《そこ》には、…
山さち川さち—– 沖野岩三郎
    一  昔、紀州《きしう》の山奥に、与兵衛《よへゑ》といふ正直な猟夫《かりうど》がありました。…
源八栗 —–沖野岩三郎
    一  もうりい博士は、みなとの汽船会社から、こまりきつたかほをして、かへつて来ました。それは…
硯箱と時計—– 沖野岩三郎
 石之助《いしのすけ》が机にむかつて、算術をかんがへてゐますと、となりの金《きん》さんが来て、 「佐…
熊と猪—— 沖野岩三郎
    一  紀州《きしう》の山奥に、佐次兵衛《さじべゑ》といふ炭焼がありました。五十の時、妻《かみ…
愚助大和尚—– 沖野岩三郎
 愚助《ぐすけ》は忘れん坊でありました。何を教へましても、直《す》ぐ忘れてしまふので、お父様は愚助…
岩を小くする—– 沖野岩三郎
 後村上《ごむらかみ》天皇さまの皇子さまに、寛成《ひろなり》さまと申すお方がございました。  まだ、…
蚊帳の釣手—– 沖野岩三郎
    一 万作《まんさく》は十二歳になりました。けれども馬鹿《ばか》だから字を書く事も本を読む事も…
ばべるの塔—– 沖野岩三郎
 まだ、電話も電信も、なんにもない、五六千年も、まへのおはなしです。  ひろいひろい、のはらを、みつ…
バークレーより——- 沖野岩三郎
 サンフランシスコから渡船《フェリー》でオークランドに渡り、更にエス・ビーの電車で五哩程行くと、セ…
にらめつくらの鬼瓦—– 沖野岩三郎
 今雄《いまを》さんは、五年級甲組の一番でした。  京一《きやういち》さんは、五年級乙組の一番でした…
アラメダより——- 沖野岩三郎
アラメダの飛行場へ行った。 『飛行機に乗ろう?』 『およしなさい。落ちたら大変です。奥様に申訳がない…
雪女—— 岡本綺堂
    一  O君は語る。  大正の初年から某商会の満洲支店詰を勤めていた堀部君が足かけ十年振りで内…
火薬庫—— 岡本綺堂
 例の青蛙堂主人から再度の案内状が来た。それは四月の末で、わたしの庭の遅桜も散りはじめた頃である。…