佐々木味津三

右門捕物帖 千柿の鍔 ——佐々木味津三

1 その第二十番てがらです。  事の端を発しましたのは、ずっと間をおいて十一月下旬。奇態なもので、寒くなると決まってこがらしが吹く。寒いときに吹く風なんだから、こがらしが吹いたとてなんの不思議もないようなものなんだが、江戸のこがらしとなると...
佐々木味津三

右門捕物帖 袈裟切り太夫—— 佐々木味津三

1 ――このたびはその第十九番てがら。  前回の名月騒動が、あのとおりあっけなさすぎるほどぞうさなくかたづきましたので、その埋め合わせというわけでもありますまいが、事の端を発しましたのは、あれから五日とたたないまもなくでした。もちろん旧暦で...
佐々木味津三

右門捕物帖 明月一夜騒動 —–佐々木味津三

1 右門|捕物《とりもの》第十八番てがらです。  事の勃発《ぼっぱつ》いたしましたのは九月中旬。正確に申しますると、十三日のことでしたが、ご存じのごとくこの日は、俗に豆名月と称するお十三夜のお月見当夜です。ものの本によると、前の月、すなわち...
佐々木味津三

右門捕物帖 へび使い小町 —–佐々木味津三

1 ――ひきつづき第十七番てがらに移ります。  前回の七化け騒動がそもそも端を発しましたところは品川でしたが、今回はその反対の両国|河岸《がし》。しかも、事件の勃発《ぼっぱつ》した日がまたえりにえって七月の七日。七日と申しますと、だれしも想...
佐々木味津三

右門捕物帖 七化け役者—— 佐々木味津三

1 ――ひきつづき第十六番てがらにうつります。  事件の勃発《ぼっぱつ》いたしましたのは、五月のちょうど晦日《みそか》。場所は江戸第一の関門である品川の宿、当今の品川はやけにほこりっぽいばかりで、さざえのつぼ焼きのほかは、あってもなくてもい...
佐々木味津三

右門捕物帖 京人形大尽—— 佐々木味津三

1 ――前章の化け右門事件で、名人右門の幕下に、新しく善光寺|辰《たつ》なる配下が一枚わき役として加わり、名人、伝六、善光寺辰と、およそ古今に類のない変人ぞろいの捕物《とりもの》陣を敷きまして、いと痛快至極な捕物さばきに及びましたことはすで...
佐々木味津三

右門捕物帖 曲芸三人娘 佐々木味津三

1 ――だんだんと回数を重ねまして、名人の捕物帳《とりものちょう》もいよいよ今回は第十四番てがらとなりましたが、目のあるところには珠《たま》が寄るのたとえで、ご番所のご記録帳によりますと、なんとも愉快千万なことには、この十四番てがらから、新...
佐々木味津三

右門捕物帖 足のある幽霊—— 佐々木味津三

1 ――今回は第十三番てがらです。  それがまた妙なもので、あとを引くと申しますのか、それともこういうのがまえの世からの約束ごととでも申しますのか、この十三番てがらにおいて、ひきつづき、またまたあのあばたの敬四郎がおちょっかいを出して、がら...
佐々木味津三

右門捕物帖 毒色のくちびる—– 佐々木味津三

1 ――ひきつづき第十二番てがらにうつります。  事の勃発《ぼっぱつ》いたしましたのは、前回の身代わり花嫁騒動が、いつもながらのあざやかな右門の手さばきによってあのとおりな八方円満の解決を遂げてから、しばらく間を置いた二月上旬のことでしたが...
佐々木味津三

右門捕物帖 身代わり花嫁 —–佐々木味津三

1 ――ひきつづき第十一番てがらに移ります。  事の勃発《ぼっぱつ》いたしましたのは師走《しわす》の月ずえ。今までもしばしば申し上げたように、当今とは一カ月おくれの太陰暦ですから、師走は師走であっても、ずっと寒気がきびしくて、朝夕はへそまで...
佐々木味津三

右門捕物帖 耳のない浪人—– 佐々木味津三

1 ――今回は第十番てがらです。  ところが、少しこの十番てがらが、右門の捕物《とりもの》中でも変わり種のほうで、前回にご紹介いたしました九番てがらの場合のごとく、抜くぞ抜くぞと見せかけてなお抜かなかったむっつり右門が、今度ばかりはほんとう...
佐々木味津三

右門捕物帖 達磨を好く遊女 —-佐々木味津三

1 ――今回はいよいよ第九番てがらです。  それがまた妙なひっかかりで右門がこの事件に手を染めることとなり、ひきつづいてさらに今回のごとき賛嘆すべきてがらを重ねることになりましたが、事の勃発《ぼっぱつ》いたしましたのは、前回の卍《まんじ》事...
佐々木味津三

右門捕物帖 卍のいれずみ—– 佐々木味津三

1 ――今回は第八番てがらです。  それがまた因縁とでも申しますか、この八番てがらにおいても、右門はまたまたあの同僚のあばたの敬四郎とひきつづき第三回めの功名争いをすることになりましたが、事の起きたのは八月上旬でありました。  旧暦だからむ...
佐々木味津三

右門捕物帖 村正騒動——- 佐々木味津三

1 ――今回はいよいよ第七番てがらです。  由来、七の数は、七化け、七不思議、七たたりなどと称して、あまり気味のよくないほうに縁が多いようですが、しかし右門のこの七番てがらばかりは、いたって小気味のよい捕物《とりもの》美談ともいうべきもので...
佐々木味津三

右門捕物帖 なぞの八卦見 —–佐々木味津三

1 今回はその第六番てがらです。  事件の端を発しましたのは、前回のにせ金事件がめでたく大団円となりましてから約半月ほどたってからのことでしたが、半月のちといえばもちろんもう月は変わって、文月《ふみづき》七月です。ご承知のごとく、昔は太陰暦...
佐々木味津三

右門捕物帖 笛の秘密 ——佐々木味津三

1 ――今回はその五番てがらです。  事の起こりましたのは山王権現、俗に山王さんといわれているあのお祭りのさいちゅうでした。  ご存じのごとく、山王さんのお祭りは、江戸三|社祭《じゃまつ》りと称せられている年中行事のうちの一つで、すなわち深...
佐々木味津三

右門捕物帖 青眉の女 ——佐々木味津三

1 ――その第四番てがらです。  すでにもうご承知のごとく、われわれの親愛なる人気役者は、あれほどの美丈夫でありながら、女のことになると、むしろ憎いほどにも情がこわくて、前回の忍《おし》の城下の捕物《とりもの》中でも、はっきりとそのことをお...
佐々木味津三

右門捕物帖 血染めの手形—— 佐々木味津三

1 ――今回は第三番てがらです。  しかし、今回の三番てがらは、前回と同様|捕物《とりもの》怪異談は怪異談でございますが、少々ばかり方角が変わりまして、場所はおひざもとの江戸でなく、武州|忍《おし》のご城下に移ります。江戸|八丁堀《はっちょ...
佐々木味津三

右門捕物帖 生首の進物—— 佐々木味津三

1 ――むっつり右門第二番てがらです。  前回の南蛮幽霊騒動において、事のあらましをお話ししましたとおり、天下無類の黙り虫の変わり者にかかわらず、おどろくべき才腕を現わして、一世を驚倒させたあの戦慄《せんりつ》すべき切支丹《きりしたん》宗徒...
佐々木直次郎

落穴と振子 THE PIT AND THE PENDULUM エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳

Impia tortorum longos hic turba furores Sanguinis innocui, non satiata, aluit. Sospite nunc patria, fracto nunc funeris ...