「2019年5月」の記事一覧

ニッケルの文鎮—– 甲賀三郎
ええ、お話しするわ、あたしどうせお喋りだわ。だけど、あんたほんとに誰にも話さないで頂戴《ちょうだい…
ドイルを宗とす—– 甲賀三郎
私が探偵小説を書いて見ようという気を起したのは疑いもなくコナン・ドイルのシャーロック・ホームズ物語…
キビキビした青年紳士–甲賀三郎
帝大土木科出身の少壮技術者の創設にかかるものでN・K・倶楽部というのがある。この倶楽部に多分大正十…
「黒死館殺人事件」序—– 甲賀三郎
 探偵小説界の怪物《モンスター》江戸川乱歩が出現して満十年、同じく怪物《モンスター》小栗虫太郎が出…
琥珀のパイプ—— 甲賀三郎
 私は今でもあの夜の光景《ありさま》を思い出すとゾットする。それは東京に大地震があって間もない頃で…
幕末維新懐古談 私の父の訓誡 ——-高村光雲
 さて、いよいよ話が決まりましたその夜、父は私に向い、今日までは親の側《そば》にいて我儘《わがまま…
幕末維新懐古談 安床の「安さん」の事—— 高村光雲
 町内に安床《やすどこ》という床屋がありました。  それが私どもの行きつけの家《うち》であるから、私…
幕末維新懐古談 私の子供の時のはなし—– 高村光雲
 これから私のことになる――  私は、現今《いま》の下谷《したや》の北清島町《きたきよしまちょう》に生…
 まず、いろいろの話をする前に、前提として私の父祖のこと、つまり、私の家のことを概略《あらまし》話…
佐竹の原へ大仏をこしらえた はなし—– 高村光雲
私の友達に高橋定次郎氏という人がありました。この人は前にも話しました通り、高橋鳳雲の息子さんで、そ…
佐竹の原へ大仏をこしらえた はなし—— 高村光雲
壁の眼の怪—— 江見水蔭
      一  寛政《かんせい》五年六月中旬の事であった。羽州《うしゅう》米沢《よねざわ》の典薬|…
備前天一坊—— 江見水蔭
       一  徳川《とくがわ》八代の将軍|吉宗《よしむね》の時代(享保《きょうほう》十四年)そ…
丹那山の怪—— 江見水蔭
      一  東海道《とうかいどう》は三島《みしま》の宿《しゅく》。本陣|世古六太夫《せころくだ…
死剣と生縄——- 江見水蔭
       一  武士の魂。大小の二刀だけは腰に差して、手には何一つ持つ間もなく、草履突掛けるもそ…
月世界跋渉記—— 江見水蔭
  引力に因り月世界に墜落。探検者の気絶 「どうしよう。」 と思うまもなく、六人の月世界探検者を乗せ…
怪異黒姫おろし—— 江見水蔭
      一  熊! 熊! 荒熊。それが人に化けたような乱髪、髯面《ひげづら》、毛むくじゃらの手、…
怪異暗闇祭—— 江見水蔭
      一  天保《てんぽう》の頃、江戸に神影流《しんかげりゅう》の達人として勇名を轟かしていた…
悪因縁の怨—— 江見水蔭
      一  天保銭《てんぽうせん》の出来た時代と今と比べると、なんでも大変に相違しているが、地…
鵞鳥——- 幸田露伴
ガラーリ  格子《こうし》の開《あ》く音がした。茶の間に居た細君《さいくん》は、誰《だれ》かしらんと…