国木田独歩 たき火—— 国木田独歩 北風を背になし、枯草白き砂山の崕《がけ》に腰かけ、足なげいだして、伊豆連山のかなたに沈む夕日の薄き光を見送りつ、沖《おき》より帰る父の舟《ふね》遅《おそ》しとまつ逗子《ずし》あたりの童《わらべ》の心、その淋《さび》しさ、うら悲しさは如何ある... 2019.05.13 国木田独歩
国木田独歩 おとずれ——- 国木田独歩 ※上※ 五月二日付の一通、同十日付一通、同二十五日付の一通、以上三通にてわれすでに厭《あ》き足りぬと思いたもうや。もはやかかる手紙願わくは送りたまわざれとの御意《ぎょい》、確かに承りぬ。されど今は貴嬢《きみ》がわれにかく願いたもう時は過ぎ去... 2019.05.13 国木田独歩
国木田独歩 あの時分—— 国木田独歩 さて、明治の御代《みよ》もいや栄えて、あの時分はおもしろかったなどと、学校時代の事を語り合う事のできる紳士がたくさんできました。 落ち合うごとに、いろいろの話が出ます。何度となく繰り返されます。繰り返しても繰り返しても飽くを知らぬのは、ま... 2019.05.13 国木田独歩