2019-05

佐々木味津三

右門捕物帖 足のある幽霊—— 佐々木味津三

1  ――今回は第十三番てがらです。  それがまた妙なもので、あとを引くと申しますのか、それともこういうのがまえの世からの約束ごととでも申しますのか、この十三番てがらにおいて、ひきつづき、またまたあのあばたの敬四郎がおちょっかいを出して、が...
佐々木味津三

右門捕物帖 毒色のくちびる—– 佐々木味津三

1  ――ひきつづき第十二番てがらにうつります。  事の勃発《ぼっぱつ》いたしましたのは、前回の身代わり花嫁騒動が、いつもながらのあざやかな右門の手さばきによってあのとおりな八方円満の解決を遂げてから、しばらく間を置いた二月上旬のことでした...
佐々木味津三

右門捕物帖 身代わり花嫁 —–佐々木味津三

1  ――ひきつづき第十一番てがらに移ります。  事の勃発《ぼっぱつ》いたしましたのは師走《しわす》の月ずえ。今までもしばしば申し上げたように、当今とは一カ月おくれの太陰暦ですから、師走は師走であっても、ずっと寒気がきびしくて、朝夕はへそま...
佐々木味津三

右門捕物帖 耳のない浪人—– 佐々木味津三

1  ――今回は第十番てがらです。  ところが、少しこの十番てがらが、右門の捕物《とりもの》中でも変わり種のほうで、前回にご紹介いたしました九番てがらの場合のごとく、抜くぞ抜くぞと見せかけてなお抜かなかったむっつり右門が、今度ばかりはほんと...
佐々木味津三

右門捕物帖 達磨を好く遊女 —-佐々木味津三

1  ――今回はいよいよ第九番てがらです。  それがまた妙なひっかかりで右門がこの事件に手を染めることとなり、ひきつづいてさらに今回のごとき賛嘆すべきてがらを重ねることになりましたが、事の勃発《ぼっぱつ》いたしましたのは、前回の卍《まんじ》...
佐々木味津三

右門捕物帖 卍のいれずみ—– 佐々木味津三

1  ――今回は第八番てがらです。  それがまた因縁とでも申しますか、この八番てがらにおいても、右門はまたまたあの同僚のあばたの敬四郎とひきつづき第三回めの功名争いをすることになりましたが、事の起きたのは八月上旬でありました。  旧暦だから...
佐々木味津三

右門捕物帖 村正騒動——- 佐々木味津三

1  ――今回はいよいよ第七番てがらです。  由来、七の数は、七化け、七不思議、七たたりなどと称して、あまり気味のよくないほうに縁が多いようですが、しかし右門のこの七番てがらばかりは、いたって小気味のよい捕物《とりもの》美談ともいうべきもの...
佐々木味津三

右門捕物帖 なぞの八卦見 —–佐々木味津三

1  今回はその第六番てがらです。  事件の端を発しましたのは、前回のにせ金事件がめでたく大団円となりましてから約半月ほどたってからのことでしたが、半月のちといえばもちろんもう月は変わって、文月《ふみづき》七月です。ご承知のごとく、昔は太陰...
佐々木味津三

右門捕物帖 笛の秘密 ——佐々木味津三

1  ――今回はその五番てがらです。  事の起こりましたのは山王権現、俗に山王さんといわれているあのお祭りのさいちゅうでした。  ご存じのごとく、山王さんのお祭りは、江戸三|社祭《じゃまつ》りと称せられている年中行事のうちの一つで、すなわち...
佐々木味津三

右門捕物帖 青眉の女 ——佐々木味津三

1  ――その第四番てがらです。  すでにもうご承知のごとく、われわれの親愛なる人気役者は、あれほどの美丈夫でありながら、女のことになると、むしろ憎いほどにも情がこわくて、前回の忍《おし》の城下の捕物《とりもの》中でも、はっきりとそのことを...
佐々木味津三

右門捕物帖 血染めの手形—— 佐々木味津三

1  ――今回は第三番てがらです。  しかし、今回の三番てがらは、前回と同様|捕物《とりもの》怪異談は怪異談でございますが、少々ばかり方角が変わりまして、場所はおひざもとの江戸でなく、武州|忍《おし》のご城下に移ります。江戸|八丁堀《はっち...
佐々木味津三

右門捕物帖 生首の進物—— 佐々木味津三

1  ――むっつり右門第二番てがらです。  前回の南蛮幽霊騒動において、事のあらましをお話ししましたとおり、天下無類の黙り虫の変わり者にかかわらず、おどろくべき才腕を現わして、一世を驚倒させたあの戦慄《せんりつ》すべき切支丹《きりしたん》宗...
佐々木直次郎

落穴と振子 THE PIT AND THE PENDULUM エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳

Impia tortorum longos hic turba furores Sanguinis innocui, non satiata, aluit. Sospite nunc patria, fracto nunc funeris ...
佐々木直次郎

宝島 宝島 スティーブンソン Stevenson Robert Louis-佐々木直次郎訳

[#宝島の地図(fig33206_01.png、横708×縦1094)入る] [#改ページ] 買うのを躊躇する人に もしも船乗《ふなのり》調子の船乗物語や、  暴風雨《あらし》や冒険、暑さ寒さが、 もしもスクーナー船や、島々や、  置去《お...
佐々木直次郎

宝島—–序–佐々木直次郎

「宝島」はロバート・ルーイス・スティーヴンスン(一八五○―一八九四)の最初の長篇小説であり、彼の出世作であるが、また彼の全作中でも最も高名な名作であることは周知の通りである。紀行文、随筆《エッセー》、短篇小説などにおける彼の数年間の文筆生活...
佐々木直次郎

二都物語 上巻 チャールズ・ディッケンズ——-佐々木直次郎訳

序 「二都物語」はチャールズ・ディッケンズ(一八一二―一八七〇)の一八五九年の作である。すなわちこの巨匠が数え年四十八歳の時の作である。作者は一八三六年に諧謔小説「ピックウィク倶楽部」によって一躍ウォールター・スコット以後のイギリス随一の流...
佐々木直次郎

盗まれた手紙 THE PURLOINED LETTER エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe——-佐々木直次郎訳

Nil 〔sapientiae&〕 odiosius acumine nimio. (叡智にとりてあまりに鋭敏すぎるほど忌むべきはなし) セネカ(1)  パリで、一八――年の秋のある風の吹きすさぶ晩、暗くなって間もなく、私は友人C・オーギュ...
佐々木直次郎

早すぎる埋葬 THE PREMATURE BURIAL エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe——-佐々木直次郎訳

興味の点はまったく人を夢中にさせるものであるが、普通の小説にするのにはあまりに恐ろしすぎる、というような題材がある。単なるロマンティシストは、人の気を悪くさせたり胸を悪くさせたりしたくないなら、これらの題材を避けなければならない。それらは事...
佐々木直次郎

黒猫 THE BLACK CAT エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳

私がこれから書こうとしているきわめて奇怪な、またきわめて素朴《そぼく》な物語については、自分はそれを信じてもらえるとも思わないし、そう願いもしない。自分の感覚でさえが自分の経験したことを信じないような場合に、他人に信じてもらおうなどと期待す...
佐々木直次郎

黄金虫 THE GOLD-BUG エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe—-佐々木直次郎訳

おや、おや! こいつ気が狂ったみたいに踊って いる。タラント蜘蛛《ぐも》に咬《か》まれたんだな]『みんな間違い(1)』  もうよほど以前のこと、私はウィリアム・ルグラン君という人と親しくしていた。彼は古いユグノー(2)の一家の子孫で、かつて...