「黒島伝治」の記事一覧

反戦文学論——黒島伝治
   一、反戦文学の階級性       一  戦争には、いろ/\な種類がある。侵略的征服的戦争がある…
農民文学の問題—–黒島傳治
 農民文学に対する、プロレタリア文学運動の陣営内における関心は、最近、次第にたかまってきている。日…
入営前後——黒島傳治
      一  丁度九年になる。九年前の今晩のことだ。その時から、私はいくらか近眼だった。徴兵検査…
入営する青年たちは何をなすべきか——黒島傳治
全国の都市や農村から、約二十万の勤労青年たちが徴兵に取られて、兵営の門をくゞる日だ。  都市の青年た…
二銭銅貨——黒島伝治
     一  独楽《こま》が流行《はや》っている時分だった。弟の藤二がどこからか健吉が使い古した古…
豚群——黒島伝治
     一  牝豚《めぶた》は、紅く爛《ただ》れた腹を汚れた床板の上に引きずりながら息苦しそうにの…
土鼠と落盤——黒島傳治
      一  くすれたような鉱山《やま》の長屋が、C川の両側に、細長く、幾すじも這っている。  …
電報——黒島傳治
     一  源作の息子が市《まち》の中学校の入学試験を受けに行っているという噂が、村中にひろまっ…
田舎から東京を見る——黒島傳治
 田舎から東京をみるという題をつけたが本当をいうと、田舎に長く住んでいると東京のことは殆ど分らない…
短命長命——黒島傳治
 ある薄ら曇りの日、ぶらぶら隣村へ歩いた。その村に生田春月の詩碑がある。途中でふとその詩碑のところ…
前哨——黒島傳治
    一 豚  毛の黒い豚の群が、ゴミの溜った沼地を剛い鼻の先で掘りかえしていた。  浜田たちの中…
選挙漫談——黒島傳治
投票を売る  投票値段は、一票につき、最低五十銭から、一円、二円、三円と、上って、まず、五円から、十…
戦争について——黒島傳治
 ここでは、遠くから戦争を見た場合、或は戦争を上から見下した場合は別とする。  銃をとって、戦闘に参…
雪のシベリア——黒島傳治
      一  内地へ帰還する同年兵達を見送って、停車場《ていしゃば》から帰って来ると、二人は兵舎…
窃む女——黒島傳治
一  子供が一人ぐらいの時はまだいゝが、二人三人となると、育てるのがなかなか容易でない。子供のほしが…
小豆島——黒島傳治
 用事があって、急に小豆島へ帰った。  小豆島と云えば、寒霞渓のあるところだ。秋になると都会の各地か…
自伝——黒島傳治
 明治三十一年十二月十二日、香川県小豆郡苗羽村に生れた。父を兼吉、母をキクという。今なお健在してい…
自画像——黒島傳治
なか/\取ッつきの悪い男である。ムッツリしとって、物事に冷淡で、陰鬱で、不愉快な奴だ。熱情なんど、…
四季とその折々——黒島傳治
 小豆島にいて、たまに高松へ行くと気分の転換があって、胸がすツとする。それほど変化のない日々がこの…
砂糖泥棒——黒島傳治
 与助の妻は産褥についていた。子供は六ツになる女を頭に二人あった。今度で三人目である。彼はある日砂…